コロナウイルスが途上国で広まるとしたら①:トイレの使用済みペーパー
「日本には規律があり、清潔な国だ」
ひったくりや道ばたのゴミの量は圧倒的に少ない 。
国外からこのように評価されることは非常に多い。
私たちのように日本で生活を営む人たちにとっては”当たり前”のことであっても、
別の世界から訪れ、Japanを知ったひとにとっては異なるように見えたりする。
今回は、そのような別視点から
「異文化圏、特にコロンビアなどの中南米において、コロナウイルスの感染拡大が広まる経路」を考える。
コロンビアの同僚たちには、アルコール消毒液で手を洗うことの重要性を伝えたが、
ぼく自身コロンビアにいるときにアルコール消毒液やマスクの売り場を歩いたことがない。
ドラッグストアはたくさんあったものの、「アンテナを張っていないと情報を取得することはできない」ということをよく実感できる。
記事の文量が多いので、この記事では「使用済みペーパーに潜む危険性」を紹介する。
目次 Índice
実情: 使用済みトイレットペーパーを流すことができず、ゴミ箱に溜める
ぼくがインドネシアに何度か滞在したとき、トイレにトイレットペーパーはなかった。
その代わり、お尻を水で洗うシャワーが便座の横にあり、
ペーパーは使用せずに、ウォシュレットのようにお尻をきれいにする仕組みだった。
毎回、日本からトイレットペーパーを持って行って、それを使っていた。
多くの国では意外にも、トイレにトイレットペーパーを流すことができない場合が多い。
トイレットペーパーを洗い流すことができるほどの吸引力が、トイレの排水システムに備わっていないようだ。
だから、正しくは「トイレットペーパーを流すべきではない」が正しい。
なぜなら、実際は何度かは流すことができるから。
でも、長い滞在で、毎回毎回ペーパーを流すと、排水管が詰まってしまう。
一度、コロンビアでも「この建物はトイレットペーパーを流すことができるなんて、珍しいなぁ」と思って、何度か流してしまっていたら、詰まらせてしまった申し訳ない経験がある。
僕が知ってる範囲では、コロンビア(カリブ海の島も)・ペルー・エクアドル・パナマ・ベネズエラなどの中南米では、
(観光者が泊まるホテルは特別な良いサービスによって、流せるかもしれないが)
地元の人たちが住む場所(家や地元レストランなど)において、トイレットペーパーを流すことはできない。
ではどうするか、
便器のすぐ脇に、トイレットペーパー用のゴミ箱が置いてある。
つまり、お尻を拭いた使用済みペーパーが視界のなかに収められているということだ!!!
ひとの使用済みペーパーを見るのは、多くの日本人には大きな抵抗があるだろう。
それに、日本のようにトイレに換気扇の機能がない場合がとても多い(タイルで密閉空間にされていたりする)。
ぼくはトイレでくつろぐのが好きなのだが、コロンビアではその習慣が完全に失われた。
糞便からウイルスが検知される。トイレの衛生環境による感染
山中伸弥教授の特設サイトを紹介した。
糞便中からウイルスが検知される場合があるようだ。
そこに 「トイレが感染源になる可能性(2論文)」として、以下の2つが紹介されている。
※コロナウイルス2019ではないが、ウイルスの挙動としては似ていると考えられる。
Wang et al., Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens 米国医師会誌3月11日オンライン版
https://www.covid19-yamanaka.com/cont4/main.html
205名の患者の様々なサンプルでPCR検査を実施。29%では便でも陽性であった。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762997
Sean Wei Xiang Ong et al., Air, Surface Environmental, and Personal Protective Equipment Contamination by Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) From a Symptomatic Patient 米国医師会誌3月4日オンライン版
https://www.covid19-yamanaka.com/cont4/main.html
シンガポールの病院での隔離病室での検討。トイレのドアノブや便器の表面からPCRでウイルスが検出された。空気サンプルからは検出されなかったが、排気ダクト表面からは検出された。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムによる消毒後は検出されず
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762692?widget=personalizedcontent&previousarticle=0
コロンビアではトイレという密閉空間のなかに、手が届くところ(目に入るところ)に他人の使用済みトイレットペーパーがある場合が多い。
それに、とても不快なことだが、ときどき使用済みペーパーの中身が見えていることもあった。
日本のトイレは清潔であっても、国外では必ずしもそうではない
トイレの衛生状況は、排水システムの改善など多くのことが関係しているため、すぐに変わることではない。
したがって、もしCOVID-19も糞便から検知されるようであれば、トイレという密閉空間が感染場所になってしまう可能性はある。
途上国で日常生活を行うことは、日本のように”清潔な環境”で生活を営むこととは異なる。
日本のトイレ衛生は非常に清潔なので、糞便による感染拡大の心配はない。
そのため、議論されることがいまのところないが、中南米などの途上国では生活基盤が異なるので、そのような背景を踏まえる必要があるだろう。
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