飛行機の預け荷物が「23kg」という微妙な重量に設定されている理由

以前、コロンビアでたくさん飛行機に乗っていたことを記事にした。
なぜ、コロンビアの隊員は2年間で20回以上も飛行機に乗らなくてはならないのか?

いつも疑問に思っていた。

23kgという数字

 

 

なんで20kgでも、21kgでも、22kgでも、24kgでもなく、23kgなんだろうか?

 

その重量に指定するからには明確な理由があるはずなのだが、どれだけググっても答えが出てこない。

 

どういうことなのだろうか??
ずっと気になっていたのに答えが出てこないので、考察してみる。

 

空港での荷物の取り扱いが手作業ベースだから

着陸した機内の窓から、ベルトで取り出されていくスーツケースたちを眺める。
その近くには、かならず空港スタッフがいる。
そのスタッフがカートに対して最後の積み込みをする。
人力だ。

多くの場合、そこにいる空港スタッフは男性であるが、空港内のベルトゾーンで働いているスタッフは女性だ。
スーツケースを持ち上げる作業は、男女両方の作業になる可能性があるわけだ。

そうとなれば、重すぎる荷物というのは勝手が悪い。

重いモノを持とうと頑張ると、ぎっくり腰になったりする可能性も高まる。
また、大きいサイズのスーツケースは、男性にとっても大きすぎる場合があり、1つのスーツケース丸々持ち上げるのは物理的に難しい。下を引きずる感じになってしまう。

僕にとってもそうなのだから、僕より20cm小さいひとにとってはなおのこと持ち上げることは難しいだろう。

 

だから、重いものは避ける。

また、人体構造やスタッフの安全性を考慮すると、25kgというのがひとつの目安となるようである。
25kgが一般のひとが、頑張らずとも運ぶことができる最大重量。

25kgが最大重量であるので、「25kg」を預け荷物の上限に設定することはない。
なぜなら、「25kg」と謳えば、26kgの荷物を持ってくる人が出てくるからだ。

「25kg」を真の上限とするためには、23kgや24kgあたりを上限として定めなくてはならない。

空港スタッフとしては、安全や人体への負荷許容量ぎりぎりの25kgは嫌だろう。
少しは余裕を持たせたいはずである。

すると、24kgというのは厳しくなる。
なぜなら、24.4kgという四捨五入ラインの判定が難しくなるから。
24.4kgはオッケーで、24.5kgはアウト。
だから、「24kg」という設定重量は理にかなっていない。

 

という理由で、23kg

 

ひとりの成人が安全に運べる重量が25kgなので、そこからの計算で「23kg」に設定した説。

 

まぁ、たまに20kgの会社もあるんだけどね

 

 

21kgや22kgを上限にしてもいいけど、そこは企業努力でギリギリの「23kg」までサービスを高めてくれている。

たしかに、「20kg」の航空会社と「23kg」の航空会社では、われわれ利用者側が受け取るイメージは大きく変わってくる。
「20kg」のほうが空港スタッフや航空会社にとっては嬉しいはずだ。
でも、そこは”良質なサービス”ということで、「23kg」まで許容する。

そんな航空会社のやさしさを、当たり前だと思っている。
商売をする上で、企業努力というのは大切なことだ。

 

 

23kg2つは、32kg1つよりも扱いやすい

というわけで、23kgというのはある種、「人間の構造的に限界ギリギリのライン」なわけだ。

23kgという重量は合理性と良質なサービスの兼ね合いで決まっていると言えるのかもしれない。

 

 

32kgというベルトコンベアのサポート

しかし、「32kg」という数字。
みなさんも見たことがあるのではないだろうか???

なぜこのような会社は32kgが可能なのだろうか??

 

ぼくはコロンビアから帰国するとき、スーツケース2つで、1つが23kg、もうひとつが32kgだった。

32kg。
気合を入れないと持ち上げられない!!

そりゃそうだ。25kgがリミットなのだから。

だから、推測するに、32kgを上限にしている航空会社は、ベルトコンベアーをかなりうまく使っていると思う。

1人2個スーツケースを預けることができれば、スーツケースの数は飛行機当たり500個はくだらない。

32kg-23kg=9kg

この9kgの差は大きい。25kgという人体の限界を超えているしね。
超えたうえで、さらに7kg重い。
そして、それを500個。

7kg✕500個=3500kg

3500kg、人体の限界を超過した重さを感じるわけだ。
これを人力でやっているとは考えにくい。

 

3.5トン である。

機内から確認できる空港スタッフは、多くて5人ほど。
3.5トン ÷ 5人=0.7トン。

700kgである。
限界を超えた部分の700kgを運んでたら、完全に腰をやってしまうだろう。

 

むしろ、機内の窓から”見える”時点でそのひとたちは、パワー系ではない。
パワー系のひとは、スーツケースをベルトコンベアに乗り降りさせないといけないから。

やっぱり、ベルトコンベアなしではやっていけないのだろう。

 

介護のように、トランスフォーマーみたいなサポート用のパワーアーマーを使っている可能性もあるが、それなら32kgから23kgに重量制限をしたほうがよっぽど効率的だ。
そしてそこから、超過料金を徴収する。
航空会社からすれば、23kgに設定することには、2重にも3重にも大きなメリットがあるような気がする。

 

機体バランスもとりやすい

23kgにすれば、機内での左右の重量バランスを取るのも容易になる。

乗客が少ないのにも関わらず、3列のシートの真ん中の列が空いていて、左右の列に集中的に乗客が乗せられている場面に出くわしたことがあるひとは多いと思う。
ちょっと経つと、旅慣れたおじさんたちが真ん中の列に移動して、その広大なシートスペースを自由に使い始める までがあるあるだ。
これも、機体の重量バランスを取るためだ。
飛行機が落ちてしまっては、元も子もない。

重量バランスを考えると、23kgはバランスを取りやすい。
たとえば、23kgの2倍、46kgを上限に設定する。

多くの利用者が、46kgまで達していないスーツケースを預けるようになる。
預け荷物の幅が、1kg~46kgまで存在してしまうことになる。

①8kg
②25kg
①17kg
②40kg
①36kg
②47kg
①25kg
②32kg

46kgという過剰な重量に設定してしまうと、預け荷物の重量にかなり幅を持たせてしまう結果となる。
これをひとつずつ順に、左右に振り分けていくと。
グループ① 86kg
グループ② 144kg

58kgも差が生まれてしまう。
人1人分の違いだ。

これを500個もやっていたら、算数が大変だ。
それこそ平等になるように振り分けする機械を導入しているだろうが。。。

 

これを23kgに上限を設ける
幅は、1kg~23kgとなる。

重量の幅が少ないということは、その分調整がしやすいということだ。
40kgの荷物を運びたければ、20kgのスーツケースを2つ作る。作らざるを得ない。
われわれにとっては手間だが、航空会社にとっては好都合のようなわけだ。

 

 

さらに言えば、40kgや46kgのスーツケースを持ち上げられるひと、そんなに多くない。
「ヨーイショ!!!!」では腰が逝ってしまう。
「フン!!」くらいでないといけないのだ!!

 

 

46kgを1回よりも、23kgを2回のほうが楽!!
これが根本的な理由だ。

いくら機械化が進んでも、結局「持ち上げる」・「降ろす」作業は人力なのだから、そこの負担を考慮しなくてはいけないわけだ。
『マッチョのパワー系のひとがその作業をすればいい」と思うかもしれないが、何人のパワー系を雇わなくてはいけなくなるのだろうか??

 

終わりに

「預けることができるのは、23kg!!」

こういうイメージを多くの人が持っているだろう。
23kgを基準にして、20kgであれば「この会社はサービスが悪いな~」と思い、32kgであれば「ラッキー!だいぶ余裕を持って荷物を整理できる」と思う。

 

でも、なぜ23kgなのか。
ぼくはそれが疑問だった。

 

それを今回、自分なりに考察してみた。
25kgが安全上の上限重量であるということから端を発し、23kgが最適であるような答えに行き着いた。

これが正しいのかはわからないし、保証はできないけど、自分のなかでは納得したので、この記事を書いてみて良かった。

 

 


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Chaito

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