田舎での犯罪者への制裁「””勝手な””市中引き回しパレード」:首に縄をかけ、バイクで引っ張られているひとが目の前を通った衝撃に耐えられますか?

田舎での犯罪者への制裁「””勝手な””市中引き回しパレード」:首に縄をかけ、バイクで引っ張られているひとが目の前を通った衝撃に耐えられますか?

コロンビアの足は、公共バス、民間企業のバス、タクシー、そして、モトタクシーだ。
モトタクシーというのは、Moto-taxiとつづり、Moto =バイクである。つまり、バイクタクシーである。

2人乗りバイクでの犯罪防止のため、2ケツバイク禁止措置

コロンビアでは、日本の外務省やJICAによってこのバイクタクシーの利用は制限されている。

安全対策の観点からだ。

タクシーも、その辺りを走っているタクシー(流しのタクシー)を道で捕まえるよりも、電話などで呼んでそのタクシーを利用することを勧められている。なぜなら、そのようにいずれかの手段を挟むことで、『どの、誰のタクシーに乗ったのかを特定できる』からだ。

犯罪に巻き込まれる可能性が減る。

さて、ときどきコロンビアの街によって、男性のバイク2人乗りが禁止されている街や地域がある。
なぜ、男性の2ケツだけが禁止され、男女では問題ないのだろうか??

その解は、「男性2人グループの引ったくりや路上窃盗の事件を減らすため」だ。
このバイクの男性2人乗り制限、とても効果があるようで、導入後窃盗事件の件数が激減したことが報告されている。

2月2日から、2か月間と20日間、試験的にボゴタのセントロ(中心街)付近の地域において導入されていたこの取り組みでは、対人強盗200件、27.5%相当の削減効果および30%相当の携帯電話盗難の事件件数減少効果が確認されたためだ。

リンク Prohibición al tránsito de parrillero hombre se extiende hasta agosto

「もともとそんなにバイクを利用した盗難があったのか!!」と驚くが、いずれにせよ効果があった政策なので続けてほしい。

2018年8月2日まで、この禁止措置を継続することを政府はすでに発表している。

この事実を知るまでは、『バイクタクシーの運転手が女性を後ろに乗せたいだけだ』と考えていた。
実に失礼な勘違いだ。ごめんなさい

バイクがパパーッと通って、1人で歩いていることを確認できたら、2ケツの後ろの人が降り、刃物をちらつかせ、歩行者のバッグ・サイフ・ケータイを奪う。そして、すぐに逃げる。

ものの数秒、数十秒で稼げる、稼ぎのいい犯罪だ。だから、多発しているのだろうが。

男女のペアならいいのか!?
と思わなくもないが、やはり男男のペアに比べたら、犯罪防止の観点からすれば優先度は低い。

男女ペアの2ケツも制限してしまえば、カップルや夫婦で乗ることも許されなくなる。それはかなり困る。
コロンビア人からしたら、暴動ものだろう。

犯罪増加はベネズエラの経済破綻が原因?

最近、ベネズエラのひとがたくさん入ってきたからか、コロンビアの治安は悪くなっている。

ぼくは、ベネズエラの人に対して嫌なイメージはないけど、コロンビア人はあまり快く思っていないらしい。

コロンビア人は、コロンビアのCedula(身分証明書)を持っていれば、以下の7か国にはパスポートなしで旅行に行ける。

  1. Ecuador. エクアドル
  2. Brasil. ブラジル
  3. Argentina. アルゼンチン
  4. Chile. チリ
  5. Uruguay. ウルグアイ
  6. Paraguay. パラグアイ
  7. Bolivia. ボリビア

うらやましい。

これ以外にも、コロンビア・ペルー・エクアドル・ボリビアの4国が同盟している「アンデス同盟」なるものがあるので、ペルーに入国するのにも飛行機の中でひとつのドキュメントを埋めれば最大90日間滞在することができる。

黄色はパスポート必要、無地は市民が持っている身分証明書のみでOK、紫は諸々別手続きが必要

隣国との問題を抱えていたりするが、南米は結構仲がいい。

コロンビアとベネズエラも、橋一本なので簡単に行き来できる。

ベネズエラの経済が破綻するまではベネズエラのほうがコロンビアよりも物価が安かったようで、コロンビア人はベネズエラで物を買ってコロンビアに持って来ていたそうだ。

それがいまとなっては、多くのベネズエラ人がコロンビアに食料と仕事を求めてやってきている。

食料はベネズエラのスーパーマーケットでは全く品ぞろえがなく、何週間も手に入らなかったため、暴動が起きていたそうだ。それでJICAベネズエラはボランティアを緊急帰国させ、いまではベネズエラには誰もいない。

「日本人だから。お金があるから、食料が手に入る」というレベルの話ではないのだ。

さて、コロンビアとベネズエラは隣国で陸続きであることから、コロンビアのククタという大きな市にはベネズエラ人が多く押し寄せ、治安が悪くなっている。

これがその国境の橋。写真は2年ほど前のものだが、最近もこんな感じ https://elpais.com/internacional/2016/08/11/colombia/1470925300_531797.html

そういうニュースが連日流れている。

ベネズエラ人も生きるためだ、仕方あるまい。

このベネズエラ人たちはそのままコロンビアの別の街に移動している。そのため、街で飴を売っている人や十字路の信号機のもとでダンボールに「私には家族がいます。食糧を買うお金がなく困っています。あなたの協力に感謝します」と書き、生活資金を得ようとしている人本当に増えた。

体感的には以前の3倍はくだらない。

それと同時に、ケータイの窃盗事件が増えた。ケータイは、誰もが持っている身の回り品で高価なものだからだ。もちろん、スマホだ。サムスンのが人気で1万円くらいで買える。

だから、ケータイで話しながら歩いている人たちがまず初めに狙われる。

みんな一度くらいは、そういう窃盗被害にあった経験がある。それが普通である。

このベネズエラ人の入国に応じるように、国内で窃盗犯罪が増えたので、みんなベネズエラ人のせいにしているという構図だ。

人権侵害行為に対して何もできない自分の無力さとそれを解決するための果てしない教育

一度、任地とは違うコロンビアの友だちの田舎町に、遊びに行ったことがある。

コロンビアの田舎では、ビリヤードが人気で、ビリヤードをしながらビールを飲んでいるのが若い男性の遊び方でもある。

そこには常連の顔見知りの若者が集まるので、信頼のもと荷物を椅子の上に置いた状態でビリヤードを楽しむ。(これはコロンビアで信頼できる場所では普通。友達の家とか。レストランでトイレに行くとき、友だちに「荷物見ててね」と言って置いていく。信頼関係がある場合のはなしだ)

ある土曜日の夜、そのビリヤード場でその町出身ではないベネズエラ人の若者18歳くらいが、ケータイを盗み取ろうとしていたところをそのビリヤード場にいた若者たちによって現行犯でひっ捕まえられた。

土曜の夜ということ、そのベネズエラの若者が逃げようとしたことから、周囲にはすぐに野次馬が集まった。(コロンビアでは、喧嘩とか路上で大声出しているひとがいるとすぐみんな見に行く)

その町は小さい(端から端まで歩いて1時間くらい)ので、いたるところからバイクでやじ馬が集まった。やじ馬がやじ馬を呼んだ。

次の瞬間、そのベネズエラの若者が出てきた。

手首は後ろで縛られ、首に紐を結び付けられていた。その首紐は、彼を捕まえた若者のバイクの後ろに括り付けられていた。

その後、バイクは彼を強引に引っ張りながら、パレードのように町中を走り回ったそうだ。

見せしめにするためだ。

西部劇で、馬に引きずられる犯罪者を見たことがあると思うが、あのようなイメージであっている。

手を縛られ、首にヒモを括り付けられてはどうしようもない。歩かざるをえない。歩かなければ、本当に西部劇のように引きずられるだろう、コンクリートの上でだ。

その日は、コロンビアの闇を見た。

夕飯はもちろん、その街を歩くのさえも気持ち悪くなるほどのインパクトがあった。

人権の観点からも気持ち悪いし、優しい日本人が耐えられる環境ではなかった。まさに、狂気であった。

みなが、その見せしめを面白がって、バイクでついていき、ビデオや写真を撮っていたのだ。

なぜこうなってしまうのか。

それは、警察の仕事が遅く、警察の処罰が軽いからだ。

だから、住民は「警察では何の抑止にもならない。だから、自分たちで裁くのだ」と思っている。

ぼくはこの話を同僚や友達に話すが、田舎に住む人たちは納得気味で、任地のブカラマンガ出身の人はそれは人権侵害だと答えてくれた。

こういう考えが正当化されている中南米の諸国多いようである、特に田舎。

物を盗んだり犯罪行為を働くことはあってはならないことだが、日本以外の国で犯罪を働いたときにどのようにその地域のひとに”裁かれる”のか、気を付けたほうがいい。「捕まって、服役するか、お金払えば釈放でしょ?」などという甘い考えを持たないことだ。

それ以来、この「見せしめ行為」について色々調べた。

中国でもいまだに見られるようだし、南米ではまだまだ多い印象を受ける(ネットの写真や記事から受ける僕印象だ)。

1.写真を観たい人はここから、中国のサイトに飛べます http://www.xcar.com.cn/bbs/viewthread.php?tid=12722876

2.これはまだ軽い インドネシアでの市中歩きの刑 英語

3.▼唸声の衝撃写真/パレスチナ:イスラエル内通者を射殺の上、市中引き回し!<閲覧注意>

写真を貼ろうと思いましたが、気分悪くなる人も多くいると思い、やめました。

人権侵害、人権保護と言うが、

「バイクで引き連れまわされ始めるベネズエラの彼が、ぼくの目の前を通ったとき、ぼくは何もできなかったし、何もできることがなかった」。

その場では、僕にできることなど何もないことを瞬時に察した。

一緒にいた友だちとその家族の人に、「ねえ、警察に電話した??これは良くないよ!!」と言うことしかできなかった。

とても異常かつ異様な雰囲気だった。

言うまでもなく、その日はなかなか寝付けなかった。

自分や自分たち日本人にできることを考えてみたが、その町の人の意識や習慣を根本から変えなくては、この”人権侵害”はなくならないという結論にすぐにいたった。

そして、それがとっても難しいことは、協力隊として活動している自分たちは良く理解できる。

まして、最も根本的かつ暴力的な部分を変えることは、非常に困難だろう。

数十年をかけて、教育をもって植え付けなくてはいけない問題だろう。

コロンビアの裏の側面、闇の実態を知った日だった。貴重と言えば貴重だが、ぼくはあのベネズエラの青年のことを忘れらない。

ケータイを盗もうとしただけで、あそこまでやられるか と思う。

ケータイを盗むことは悪いことだが、それを裁くのは警察や立法機関だろう。ただの一般人が正義を振りかざし、自分の手で裁きを与えるのは、国家や司法、行政を愚弄していると感じる。正義という名の胡散晴らし。

ドイツが移民を受け入れたことで、尋常じゃない数の無法者(移民たち)のルールがドイツのルールを超える。収拾がつかないからだ。

このビデオはかなり衝撃的なので、個人の判断でお願いします。

無数の移民男性に強引に引きずり込まれるドイツ女性。

表の部分とはどの世界でもまぶしく、裏の部分はどの世界でも薄暗く、恐怖感にあふれたものだ。

個人的な意見だが、ヨーロッパに憧れを抱くのはやめたほうがいい。現実のヨーロッパをきちんと見るべきで、学ぶべきだ。

我々が知る栄光のフランスやドイツ、イギリスはすでに国内問題でいっぱいいっぱいだ。最近は北欧もその仲間入りをしている。

これはネガキャンではなく、ひとつの現実としてとらえてもらいたい。


ぼくはこのような現状を知っても、いまだコロンビアのことが好きだ。

犯罪を未然に防ぎ、犯罪者を正当に裁くことは大切なことだ。

でも、表面に浮かび上がる問題を見て、あーだこーだ言っても仕方ない。

できるなら、そういう犯罪がうまれないような仕組みをつくり、警察がきちんと機能し、市民の信頼をよく得てもらえるようにしてほしい。

表面に見える課題は「犯罪数」だけだが、根本的な問題はもっと根深く、とっても複雑な問題だ。

ぼくたち協力隊やぼくたち日本人がこれに対してできること??

そんなものは何もない。

われわれは多くの理不尽に対して、コメントすることはできるが、耐えることしかできない。

人は簡単には変わらず、ましてや社会など何万人が束になってやって少しのインパクトを残せるかどうかのレベルだ。

そして、我々が彼らの社会に飛び込んでいるのだ。彼らが日本の社会に飛び込んでいるわけではない。

ここは異世界。まさにそうだ。自分の日本人ルールが通用しているだけ、まだありがたい。日本のルールが通用する場所は日本だけだ。当然のことだが、おおくのひとがそれを当然のこと過ぎて忘れてしまっている。日々の生活にまで神経を尖らせるのは、なかなか疲れるものだ。

ぼくはこうして、自分の小ささを知り、無力さを知った。

しかしそれでもなお、コロンビアのことが好きな気持ちは残った。

彼らは彼らの世界しか知らないのだ。だから、8歳の子どももその現場を見ても、面白がって野次馬してる。

これが、ぼくがコロンビア人を日本に招いて、別の世界を知ってもらいたいと思う理由。

そして、そのように日本を知ってもらうことで国際協力を行いたいと思う理由の一つでもある。

*後日談

結局、ベネズエラの青年は街から離れた場所で普通に殺されたそうです。何が”普通”かは、その社会が決めることなのです。

Chao


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Chaito

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 4 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. By 鈴木

    豊かな感性と逞しい理性、そして強い信念を感じさせる、良い文章。

    • By まめ吉

      コメントありがとうございます。初めてのコメントということもあり、とてもうれしいです。今後も書き続けていきますので、よろしくお願いします。

  2. By nero

    先日(2019年2月)平日午前11時頃、ボゴタ北部Chapinero Centralの人通りの多い繁華街にて、集団制裁を目にしました。周囲の通行人や野次馬が「Ladron(泥棒)」と言っており、道路に転がった1人を20人位が蹴飛ばしたりしていました。本当に泥棒なのであればとりあえず取り押さえ、後は警察を呼んで欲しいと思いますが、その場に居合わせた通行人が寄ってたかって制裁している光景にゾッとしました。都会のボゴタでも、多くの市民の人権意識とはこのようなものだと再認識しました。
    その後日本に帰って来てもこんな話は誰にもできなかったので、ここでコメントさせていただきました。ブログ記事ありがとうございます。

    • By じゅんぺい

      neroさん
      Champineroで遭遇したのですね。心の酷いざわつきは、お察しします。

      ぼくも記事の通り、同じような思いをしました。
      どうして警察に引き渡さないのか。どうして寄って集って制裁をしてしまうのか。
      吐き気がしましたし、周りのコロンビア人が平然としていたり、動画をとっていることが「狂気の沙汰」にしか感じませんでした。
      いつもは普通の人に見える周りのコロンビア人の「人権意識(とでも言いましょうか)」が、そういうトラブル時の対応でガラッと変わってしまうのは、普段偽りの仮面を被っているようで怖いですよね。

      ぼくがこの話を「2年間の生活で出会った良心的なコロンビア人」に何回か訊いたところ、論理的には「それは人権侵害で、警察に引き渡すべきだ」と答えていました。
      でも、「実際にそういう場に出くわしたら、できることはない」と言いました。
      助けに入って、自分が泥棒の仲間だと思われ、袋叩きにあう(最悪の場合、殺される)可能性があるからです(neroさんなら、「なにが起きるかわからない怖さ)を理解できると思います)。猟奇的です。
      コロンビアでは、賢い人はそういう場から離脱します。自分が巻き添えを食らいたくないからです。
      だから、コロンビア人全体の教養レベルは上がらず、差が開く一方なんですよね。

      こういう人間的な恐怖の話は、日本で話すにふさわしくないですよね。
      日本で話しても、相手には全く伝わらないでしょうし、この問題はとても根の深い問題すぎて、心のざわつきはその場にいた人しかわからないことでしょう。
      この記事を書いておいてよかったと思いました。すこしでも気持ちが落ち着いていただけたなら、幸いです。

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