任国外旅行制度と噂の不祥事:勝手に任国外旅行に行くアホがいる?
ぼくは一度コロンビアから日本に帰国している。
『任国外旅行制度』という協力隊の制度を利用して、だ。
任国外旅行制度は簡単に言うと、
派遣期間2年間のうち、1年間ごとに最大20日間までなら「派遣されている任国以外の国に、海外旅行してもいいですよ」という制度だ。
なので、1年目と2年目で、1年毎に20日間の海外旅行が許可される。これはJICAによって許可されるだけで、配属先の組織が許可しなければもちろん海外旅行はできない。また、1年目に1度も海外旅行しなかったとしても、2年目に1年目の20日間を繰り越すことはできない。
ぼくは、
1年目、日本への帰国で13日間、エクアドルのガラパゴス諸島へ7日間
2年目、パナマへ2日間 まだ18日間分残っている。
去年の今頃、2年目はペルーのクスコ・マチュピチュ6日間、ブラジルのイグアスあたりに6日間、エクアドルの期と周辺へ6日間と計画していたが、全くもって無理だった。笑
任国外旅行可能な国というのは派遣される国によって異なる。基本的に、派遣国(任国)の周辺諸国である。
コロンビア隊員の場合、北から、メキシコ、パナマ、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、ブラジル、そして、これに母国の日本を加えた7カ国である。
治安悪化や災害などが起これば、その国への任国外旅行はJICAによって許可されない。つまり、いまはベネズエラへの任国外旅行は全面的に禁止されている。
ちなみに、コロンビアは外務省的にはまだまだ治安が悪い、政情が不安定という理由で、他国の協力隊ボランティアは、コロンビアへ任国外旅行で来ることはできない。許可されない。コロンビアの地を踏むことはできない。
だから、「コロンビア国内を旅行する」ということは、結構価値があることなのである。だから、ぼくは国内旅行に力を注いでいた。コロンビアは綺麗だし、都市によって標高やスペイン語、容姿も大きく違うからかなり面白い。
この任国外旅行制度を利用する際、計画している旅行先の国によるのだが、最低でも1ヶ月前、ペルーやボリビアなどへ行きたい場合は3ヶ月前までに詳細な旅行計画(航空券手配。いついつは、どこどこのホテルに泊まる。どのように都市間を移動するなど)を添えて、派遣国JICAの調整員さん(協力隊面倒見係)に提出しなくてはならない。
JICAにもきちんと管理されているので、『1年間最大20日間』を超えることは許されないし、外務省の安全マップによって「一般旅行可能地域」と制定されている地域しか入れない。我々協力隊員は、公用旅券(政府関係のパスポート)で身分証明されているし、外務省のJICA管轄下で生活させていただいているからね。
ちなみに、40歳以上のシニアボランティアさんたちは、1年間最大20日間で「世界中のどこの国でも」任国外旅行可能です。コロンビアのシニア隊員でも、スペインやアメリカ、アルゼンチン、エジプトなどなど制限はないと思います。ぼくは、シニア隊員ではないので、制度上の条件は詳しく知りませんが。
頻繁に、「イスラエルの大使館には近づかないでください」といった世界的なJICAからの安全対策連絡がくるので、『南米隊員はイスラエルなんて行けないんだから、関係なくね?』と思うかもしれませんが、シニアボランティアさんたちはアジアに行くことも可能なので、そういうための情報なのでしょう。
トランジットであれば、アメリカやメキシコ、ヨーロッパに入ることはジュニア隊員でも可能です。そうしないと日本へ一時帰国できないですからね。任国外旅行の20日間というのは、任国を出た瞬間からカウントされます。そのため、僕の場合は13日間日本に帰国していましたが、コロンビアのボゴタから、アメリカのヒューストン経由で成田空港に着くまで30時間を消費しました。時差の関係もあるので、単純に何時間かはわかりませんが、往復で60時間(2日間と半日)は飛行機もしくは空港で貴重な時間を消費していたことになります。
日本に近い国に派遣されていれば、その分「日本へ帰国する」という選択を取りやすいのでしょうけど、南米隊員の場合、あまり日本に帰国する隊員は多くない印象です。
無論、ちょっと前までは、任国外旅行可能国に日本は含まれておらず、日本へ帰国するという選択肢自体なかったそうですけどね。
どこにでも「事の重大さを理解せずに、自分の慣れから、自分ルールを全体のルールかのように考える」アホっぽい思慮の浅い人はいます。
ぼくは詳細を知らないので、あくまでも””噂話””として聞いてください。
任国外に旅行に行っているのに、JICAに任国外旅行届けを届けず、“無断”で任国の外に出たひとがいたそうです。
しかもその国では、協力隊員がそういう風に無断で任国外へ旅行に行くことが常習化していたとか。
調整員さんの数が足りず、管理が行き届かない。だから、勝手に旅行に行っていたそう。ま、当の本人たちの理由など知りませんが。黙っていれば、ばれないとでも思ったんですかね??スタンプ押されるのに
そういう不祥事があったので、
たしか去年のはじめに、世界中に派遣中のすべての協力隊員に対して『公用旅券(パスポート)の全ページを写真で提出してください』という、僕たちからすればただただめんどくさい義務協力がJICAから届きました。
入国出国の際に、スタンプがパスポートに押されるので、それを元に「不正な渡航を行っていたかどうか」を特定するためだったのでしょう。
どの組織にもルールはあり、多かれ少なかれ1つ1つのルールが持つ重要性は違いますが、それでもさすがに『勝手に海外旅行に行っちゃう』というのが噂ではなく、事実だったとすれば、その人はまぁ強制帰国でいいんじゃないですか?
さすがにそんな人を、JICAが信頼することはできないでしょ!!
JICA支給のケータイ盗まれてしまいました。 というのとは、わけが違いますから!
さてさて、そういうことを予防するためか、国によってはパスポートはすべて当国のJICA事務所が保管するというケースもあるようです。コロンビアの場合は自己管理です。ぼくの手元にあります。
JICA事務所というのはその国の首都にあるので、任国外旅行を行う際は事務所に寄って、パスポートをもらってから旅行し、帰ってきたら事務所にパスポートを届けるという流れのようです。
一般パスポートを失くすのも重大ですが、政府発行の公用パスポートを失くすのはもっと重大です。本当に。
派遣中の隊員が失くす度に日本のJICA本部の職員が頭を下げて、手続きを行い再発行してくれていますしね。海外にいるのに、パスポートを持っていないなんて、身分証明がなされないようなものですし。
『パスポートは、命の次に大切なもの』と繰り返し言われていますが、紛失はともかく、盗難される際は一瞬なので、置き引きなどには気を付けましょう。
このようなことから、
JICAとしては今後、協力隊員には公用旅券ではなく、一般旅券で活動にあたってもらうように、制度を変更しているところだそうです。
一般旅券なら、派遣国の大使館でも発行可能ですからね。根本的な問題はそこではないですけど。
この公用旅券のすごさは、
ボゴタでタイミングによっては1時間以上ならばなくてはいけない入国審査を、政府関係者列を通れるので5分くらいで通れます。
あと、ボゴターヒューストンー成田間をANA提携のユナイテッド航空がここ数年で就航したので、ぼくはそれを金額的にも、所要時間的にも最適だったので利用しました。往復で。
帰り、成田からボゴタに戻るとき、ANAのチェックインカウンターでチェックインした際、
まず、預け荷物のスーツケースの重さを計測せずにそのままスルーしてくれました。
さらに、ビジネスクラスや優待カード(スターアライアンスとかのシルバー)の人たちと同じように、早く出てきて丁重に扱ってくれるタグを付けてくれました。
そして、最後に「お仕事お疲れ様です。お気を付けて、いってらっしゃい。」と言ってくれました。
1度しか経験していないので、たまたまそうだっただけなのかもしれませんが、それでも気持ちよく送り出してもらいました。ANAでした
ほかの記事を書いていたら、話がすごく脱線して、任国外旅行および公用旅券の話になってしまっていました。
そのため、その記事から切り離して、ひとつの記事にしました。
協力隊にならないと、なかなか協力隊内のルールがわからないと思います。
それなのに、なんか海外旅行にでかけている写真がたくさん上がってきて、「この人たち、遊びに行ってるだけじゃない??」と疑問に感じてしまうのもある種の必然だと思います。でも、その背景には、この任国外旅行制度があったんですね!
任国のなかの旅行であれば、日数の制限はありません、配属先の休みとその許可の問題です。
国内旅行の場合も、1週間前までに移動届と言って、「いつ、どこに、どうやって、どこに泊まるか」をJICA事務所に提出しなくてはいけません。
基本的に、隊員は何をするにしてもJICAやJICA事務所の管理下にあります。なので、不便さを感じることもありますが、まぁそこは組織なので仕方のないことでしょう。
Chao
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