いまでもＥＭ菌に虜になっているひとがいて、驚く。

ＥＭ菌が各宗教団体と繋がっていたりして、さらに驚く。

ＥＭ菌で放射能が消滅するというトンデモ理論を持ってして、福島の人たちに商売をしに来ていたひとがいたことを知り、驚く。

菌は、やはり金（きん）になるのだろう。
そうでなければ、こんなわけのわからないものがこんなに長い間線香花火のように続くはずがない。

目に見えないものを商売にする悪徳なやり方

微生物は目に見えない。
だから、なんとでも言える。

滅菌処理した土を見せられても、そこに微生物を“見いだせる”ひとはとても多いだろう。
そこに微生物が本当はいなくても、その人たちにとっては「いる」のである。

ぼくがあなたの目の前に、しっかりと滅菌処理をした土壌を手のひらに乗せて見せよう。

それは滅菌処理をした土、つまり微生物をすべて滅した土なのである。
しかし、その事実を伝えなければ、ほとんどすべてのひとがその土には微生物がびっしりといると思い込むことだろう。

思い込むのである。

では、話を反転させよう。

ぼくは、作物生産に有益な微生物の培養に成功した。
その有益な微生物を大量に、手のひらに乗せた土に添加した。
この手のひらの有益な土を、あなたに500円で売ってあげることにした。

あなたは、この有益な土を買いますか？

突如やって来た転校生が、瞬時に地域全体の学生の番長になることはない

微生物の数は尋常ではない。
尋常ではないのである。
それはもう、尋常ではない。

その微生物の世界に、ちょちょっと別の微生物を撒いたからといって、何か大きな効果を期待することができるだろうか？
できるはずがない。

それに、““たとえ””それが一度効いたとして、作物生産という期間で考えれば、それは一瞬の出来事に過ぎない。

作物生産に関して言えば、葉面散布をしたりすれば、葉面のphが変化して、病原菌を殺すことができるかもしれないが、土壌に施されたものは（高濃度でなければ）普通、土壌が持つ緩衝能によって期待されるほどの結果は得られない。

この微生物商品がおもしろいのは、
多くの科学者がきちんと圃場実験を行い、「有意な効果がない」ことを証明しても、いずれかの団体による圧力によってその結果が公表されることがないことだ。

ＥＭ菌、水素水。最近は、アルカリ性の変な水が農薬や放射線を洗い流すと言われている

トンデモ科学はおもしろい。
菌も、「〇〇菌」と謳われてしまえば、中身がどういったものなのかはブラックボックスになる。

この世には多くのブラックボックスがあるが、それは信頼関係によって成り立っている。
したがって、「嘘をつくことがない」と思い込んでしまいがちである。

最近は、アルカリ性の水を噴霧すると、野菜に付着している農薬や放射線を落とすことができる商品が発売されているようである。

この商品の販売方法で上手なのは、「〇〇雑誌でも紹介されました！」「〇〇番組で取り上げられました！」というクチコミを利用することにある。

冷静に考えれば、アルカリ性の水をかけたくらいで放射線が落ちるわけがない。
もちろん、表面に付着した放射性物質は水で洗い流すことができるが、消失することなどありえない。

それに残留農薬がどれほど付着しているか、わからない。

雑誌やテレビは、公平性や科学的信憑性を担保していないことは自明のことである。
特に、有名人でもない、どこの誰だかわからないひとが広告塔のように紹介されているものは、怪しい。

有名人であれば逃げることはできないし、言及されればそれに応えてくれるだろう。
しかし、何処の馬の骨かもわからないひとが、顔を出して紹介していても、いつでも雲隠れできてしまう。

だから、ぼくは知名度のある有名人の場合のみ、少々心を落ち着ける。
信頼はしないが、少々安心する。

いつでも悪いヤツはいる

普通に生きていると、良い人しかいない。
気に入らない人や気の合わない人はいるかもしれないが、法律的な悪い人ではないことがほとんどである。

だから、良い人の世界になれ、騙されるはずがないと相手を信頼してしまいがちである。
そういうときに、ヤツは来る。

原発事故後、福島に実際に「放射性物質が消える菌」を売りに来たひとがいたそうだ。
良心が痛まないのだろうか？？

宗教についてはなんとも思わない。
信仰したいものがあれば、信仰すれば良いだろう。
ぼくは、イスラム教だろうが、キリスト教だろうが、日本の信仰宗教だろうが気にしない。

でも、相手の良心につけいって、金儲けのための悪さを働くのは許せない。

それと同時に、そういう悪徳ビジネスを行なっているひとたちは、
①良くないものだと知っていながらやっているのか
②良いものだと信じ込んでやっているのか
どちらなのか、とてもよく疑問に思う。

ひとを最初から信頼すると、疲れる。
でも、自分が傷つかないために最初から信頼しないのは、嫌いだ。

だから、新しい人と出会うと疲れるのだ。