第17弾:青年海外協力隊の任期中の職種は指標であって、活動の中身ではない

第17弾:青年海外協力隊の任期中の職種は指標であって、活動の中身ではない

この記事では、「任地に着いたら、職種に固執する必要はないんだよ」という話。

職種がどうとか、関係ないから

青年海外協力隊に応募する際、必ず職種を選ばなくてはいけない。
訓練所でも、何かと職種でくくられることもある。
「同じ職種」というだけで専門的な知識が似ているという背景があるので、仲良くなるきっかけになる。

でも、任地に着いたら、結構どうでもいい。

もちろん、職種というのは指標にはなる。
「ぼくは野菜栽培のボランティアです」と言えば、「ああ、このひとは農業関係で野菜栽培について詳しいひとなのだ!」と思ってもらえ。
わかりやすい肩書きだ。

でも、べつにそういう肩書きはどうでもいい。

 

「どうでもいい」と言うと語弊があるかもしれないが、職種とか関係ない!!

野菜栽培隊員だからといって、野菜栽培のすべてを詳しく知っているわけではない。
任地のレベルによるが、協力できるレベルに達しているモノと達していないモノが出てくるのが普通だ。

それに、野菜に詳しかろうが、栄養管理の知識が豊富であれば、栄養についても教える。
相手が求めるモノがあれば、それで協力ができる。
自分が持っていて、彼らが持っていないモノがあれば、それを教えることができる。

たとえば、自分の家が農家の柔道隊員がいたとしよう。
彼の専門は柔道だ。
柔道を教えるために、その任地に行くわけで、柔道を2年間教えることがその人の一番の活動になることは間違いない。
でも、実家でよく見た農業技術があれば、(農業技術を話せる場面があれば、)それを伝えることで貢献することができるわけだ。

なにも、「柔道」という職種に固執して、自分の協力できる幅を狭める必要はない。

だから、職種というのは任地では指標でしかない。
何で協力できて、何で協力できないのかは、行ってみて、観察してみないとよくよくわからない。

 

任地のひとに、「私はコミュニティ開発隊員です」と自己紹介しよう。
「コミュニティ開発ってなに??」と思われるのが常だ。
青年海外協力隊の日本人が日本語でも全貌をイメージできないのに、それを異文化のひとたちにイメージさせることは不可能だろう。

 

「野菜栽培隊員です」よりも、「ミミズに詳しいです」の方がその道のひとにとってわかりやすい

専門職種で応募しているひとはわかると思うが、その専門のすべてを網羅できているパターンは多くないと思う。

たとえば、ぼくはまさにそう。
ぼくは野菜栽培隊員だった。

人並み以上に、野菜栽培については知識や経験がある。
それでも、野菜栽培のすべてを知っているわけではない。
というか、野菜栽培というネーミングはとっっっっっっても幅が広いので、どうしようもない。
すべてを網羅しているひとがいるのかもしれないが、そういうひとはむしろ専門家になった方が良い。

病害虫対策に詳しいひと。
トマトなどの接ぎ木技術に長けているひと。
有機肥料の作り方に詳しいひと。
複合的な栽培管理の指導が得意なひと。
傾斜地における土壌管理を知っているひと。
などなど

派遣される地域のレベルにもよるが、重点的に技術協力できるのはいくつかだろう。
たしかに、その任地の農業レベルが低ければ、すべてを教えることができる。
でも、そこには2年間という「時間的な制約」という壁が次に生まれてくる。
だから、結局重点的に協力できることはいくつかに限られる。限らざるを得ない。
工夫すれば、時系列的に活動内容を変えることで、複数の異なるテーマを扱うこともできるかもしれない。

 

 

僕の意見としては、
「私はこれができる!!!!」という風に、まずは自分の専門を突破口に活動内容を広げていった方が良いと思う。

というのも、まず大切なことは、周りの信頼を得ることだから。

自分がよく知りもしないことで協力を要請されるよりも、自分の専門性を振りかざして、その土俵で協力した方が良いと思う。

 

だから、最初の数ヶ月間の自己紹介は、「野菜栽培のボランティアです」でも良いのかもしれないが、徐々に自分が協力できる分野が見えてきたら「専門はミミズコンポストです」と言った方がそれに関する仕事の要請が舞い込みやすくなる。

言うならば、自分が働きたいこと、自分が導きたい方向を自己紹介で話すべきということだ。

「専門はミミズコンポストです」と言えば、ミミズコンポストをやっているひとややりたいと思っているひとは食いついてくるし、全くしらないひとは「ミミズコンポストって何??」と疑問に思って訊いてくるようになる。
そうすれば、そこでミミズコンポストの良さや方法を説明する機会がもらえるわけだ。
あとは、営業みたいなモノだ。
それがどう良くて、どういう可能性があって、どのようにやるのか。
そういう話へと進めていくことができるようになる。

 

任地で自分の協力できる(協力したい)活動が明確になったら、それを全面に押し出した方が良い

 

専門は職種を超える

職種というカテゴリーは、青年海外協力隊事業のなかだけの話。
だから、自分の専門がぴったりと協力隊の職種にはまるかどうかはわからない。

有機肥料の作り方というのは、野菜栽培と土壌肥料の両方に当てはまる。
土壌の管理方法の指導も、両方に当てはまる。
ミミズコンポストは、ビジョンによっては、野菜栽培、土壌肥料、環境教育、コミュニティ開発に当てはまる。

自分の専門が1つの職種に当てはまるわけではないのだ。
だから、複数の職種に応募できたりする。

 

ということは、職種というカテゴリーを意識しすぎる必要はないわけだ。
特に、任地では意味をなさない。

たとえば、ぼくの配属先がミミズコンポストのスペシャリストがほしかったとしよう。
ぼくが野菜栽培隊員だろうと、土壌肥料隊員だろうと、環境教育隊員だろうと彼らには関係がない。
ミミズコンポストのスペシャリストがほしかったのだから。
もちろん、専門的な知識が背景にあるので、技術移転の際のイントロの切り口が違ったり、出口が違ったりするかもしれない。
環境教育の一環としてミミズコンポストを指導した場合、農業技術の一部として技術協力するよりも、生ゴミの有効資源化の意味合いが強くなるかもしれない。

それも活動の個性。

誰かと比較されることはないわけだから、自分の個性で活動していくべきだと思う。
その個性というのは、職種ではなく、そういうカテゴリーを超えた専門性の部分。

だから、自分の専門性を全面に告知しながら、働いていくと良い思う。

 


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Chaito

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